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弾かないけど捨てられない! 使わなくなった“物置ピアノ”、よみがえらせるには?

お子さまに「習わせたい」と、思いきって購入したピアノ。ずっと弾き続けられればよいのですが、成長や独立などにともない、弾かれなくなることもしばしばあります。思い出がつまっているものだし売りたくない、しかし誰も弾かないのでピアノの上に荷物が積まれている……。そんな状況に陥っているご家庭もあるのではないでしょうか? 忘れそうなピアノを生き返らせるインテリア配置、そしてピアノの色を塗り替えたり、装飾を施したりしてインテリアとして生き返らせる「デザインピアノ」についてお伝えします。
弾かれない実家のピアノ 気がついたらピアノが物置になっていた!

使わなくなったピアノ、どうしますか? 「ピアノ 使わない」などのワードでウェブを検索すると「中古ピアノ買い取り」の会社がずらずらとヒットします。筆者の実家にも今はだれも弾いていないグランドピアノがあるので、母に売らないのかどうかを聞いてみたのですが、思い入れがあるようで、「決して手放さない」と一蹴されました。そんなことはつゆともしらず、のんきな妹(三女)がピアノの上にも下にも物をたくさん置いて、まるで便利な収納スペースに。部屋もピアノ部屋というよりは物置部屋といった様相で、見るも無残です。

大掛かりなリフォームができない場合や、使わないピアノを処分せず、暮らしやすい部屋をつくりたい場合、いったいどうすればよいのでしょうか。インテリアの工夫などについて専門家の方に聞きました。

「ピアノ・どーん!」でもストレスフリーに見せる家具の配置を考える

グランドピアノを購入された方の相談を受け、お部屋づくりに携わった経験をお持ちのインテリア・コーディネーター、水田恵子(みずた・けいこ)さんに、ピアノ部屋のインテリアについてお伺いしました。

新しく迎え入れるときには大きさが頼もしく感じられるピアノですが、弾かなくなったピアノは大きくて重い真っ黒なオブジェのようなもの。「ピアノを部屋に置く場合、黒くて大きなものが部屋のかなりのスペースを占めることになるので、まずバランスを考えねばなりません。特に、部屋の隅に置けるアップライトピアノとは異なり、グランドピアノはその部屋の主役です。残った空間に、他の家具はどれだけ置けるのか、その結果として日常生活をどのように成り立たせていくのか、こうしたことをよく考える必要があります」と水田さん。

カーテンは色味としてはシックで、光沢感のない無地の生地を使用し、ピアノに合ったシンプルなものを選択、ピアノの上のシャンデリアも、シャープでスッキリしたデザインのものに(画像提供/水田恵子さん)



カーテンは色味としてはシックで、光沢感のない無地の生地を使用し、ピアノに合ったシンプルなものを選択、ピアノの上のシャンデリアも、シャープでスッキリしたデザインのものに(画像提供/水田恵子さん)

グランドピアノとアップライトピアノでは、インテリアも変わるのでしょうか。「グランドピアノとアップライトピアノの違いに、インテリアの派手・地味は関係ないと思います。グランドピアノの場合はピアノが部屋の真ん中に来るので、ピアノ中心のインテリアになり、どうしても派手になりやすいでしょう。一方で、アップライトだと壁に寄せておくことが大半だと思いますので、グランドピアノに比べれば、ピアノを意識せずにインテリアをつくりやすいと思います」(水田さん)

「使わないピアノなら、色を塗り直すなどのリメイクをしたりして、現在の生活で有効に使うことも一案」と水田さん。「ピアノが弾けなくならないよう気をつけつつ、インテリア小物などをディスプレイする場所にするのも一つの方法です」とも教えてくださいました。

そこで、次にピアノをリメイクを実際に行っているかたのお話を伺うことにしました。

ピアノそのものをリメイクして新しいインテリアに 「デザインピアノ」

ピアノメーカーが集中し、生産がさかんな静岡県。湖西市にあるデザインピアノ工房は、依頼を受けたピアノ自体にデザインを施し、「魅せる」ピアノをつくっています。店長の荻野光彦(おぎの・みつひこ)さんに、ピアノのリメイクについてお話ししていただきました。

「ピアノは大きく存在感のあるものなので、お客様のインテリアの趣味や志向に合わせて選べたら、もっと素敵な空間をつくれます。部屋の隅でほこりをかぶっているピアノをよく見かけますが、そのピアノもご家族などからプレゼントされ、それぞれに思い出が詰まっているケースがほとんど。だから古くなっても今のインテリアに合うデザインにリノベーションして残したい人が多いものです」(荻野さん)。そんな思いから、デザインピアノのお仕事を始められたとのこと。現在までに、アップライトピアノを450台、グランドピアノ30台のリメイクを手掛けたそうです。

人気があるのは「白いピアノ」「猫脚のピアノ」など、幼いころ絵本で見て憧れたようなデザイン。真っ黒なピアノであっても真っ白に塗り替えることが可能だというので驚きです。ピアノには何重にも塗膜を重ねて塗装するため、色ムラがでることはないとのこと。また、椅子も脚をピアノと同色に塗装したり、座面をホワイトに張替えたりするリメイクが可能なため、ほとんどの方がピアノと椅子をセットでリメイクされるそうです。

デザインはお客様のお部屋を見て、相談しながら決めます。費用も塗り直し19万8000円~、飾り金具一つ8000円~などを組み合わせた結果、ピアノによってさまざまです。「ピアノは箱に入れてしまっておくことが出来る楽器ではありません。今後も楽器として使える『奏でるインテリア』としてお客様に提案しています」(荻野さん)

人気のある白いピアノ。左の古い真っ黒なピアノが右のように白く生まれ変わる(画像提供/デザインピアノ工房) 

人気のある白いピアノ。左の古い真っ黒なピアノが右のように白く生まれ変わる(画像提供/デザインピアノ工房) 

荻野さんのこれまでのお仕事で印象に残っているのは、「亡くなった母の好きだったひまわりの絵を描いてもらいたい」という依頼だそうです。「スペースの問題など、各家庭にそれぞれの事情があると思いますが、リメイクすることで、新たなピアノライフの始まりになるとよいですね」(荻野さん)

思い出のひまわりを描いたピアノ(画像提供/デザインピアノ工房) 

思い出のひまわりを描いたピアノ(画像提供/デザインピアノ工房) 

ピアノをリメイクしてその時代に合ったデザインにしていけば、次の世代に受け渡すことが可能だと言う荻野さん。ピアノリメイクの意義は「物を大切にする気持ちを尊重し、思い出を守り、想いをつないでいくこと」だと語ってくださいました。

物置部屋と化す前に、ピアノがある暮らしを考え直そう

以上のように、インテリアの工夫、ピアノそのもののリメイクなど、ピアノの延命策やピアノ部屋の改装には、いくつかの方法があることが分かりました。そのうえで水田さんは「お客様のお話をよく聞いたうえで、もし処分するほうのメリットが大きければ、処分するようにアドバイスをすることもありえるでしょう」と言います。たしかに、処分したピアノが誰かの手に渡ってまた弾かれるのであれば、それもまたピアノがつなぐ縁だといえます。

筆者の実家、ほぼ物置部屋と化したピアノ部屋。こうならないために早めの対策を(写真撮影/近藤智子)

筆者の実家、ほぼ物置部屋と化したピアノ部屋。こうならないために早めの対策を(写真撮影/近藤智子)

例えば筆者の実家のピアノ部屋はリビングの横にあり、以前は亡くなった祖父の部屋でした。妹(次女)が専門的に音楽に取り組むことになったため、畳の和室はフローリングの洋室へとリフォームされ、それまでのピアノが処分され、新しいピアノがやってきました。が、その妹も大学入学と同時に実家を出て、それ以来、鍵盤はほとんど叩かれることがありません。

それでも家族の思い出の詰まったピアノ。これからまた誰かが弾き始めないとも限りません。カーテンを開けて光を入れ、部屋を片付けて、そのうえで、どんなふうにピアノ部屋をつくり直し、ピアノと付き合うのが我が家にふさわしいのかを、一度考えてみたいと思います。

●取材協力
・デザインピアノ工房
・水田恵子(Office SPIRAL)
Source: SUUMO ジャーナル

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