外が丸見えの「シースルートイレ」が訴える、笑えない世界のトイレ事情

外が丸見えの「シースルートイレ」が訴える、笑えない世界のトイレ事情

 

建材・住宅機器メーカー大手のLIXILが11月19日の「世界トイレの日」に合わせ、内部から外が丸見えのトイレを展示した。

トイレに行くだけで命の危険

イチョウ並木が沿道を黄金色に染める東京都港区の明治神宮外苑。大勢の人でにぎわうイベント会場に設置されたのは、マジックミラーで囲った「シースルートイレ」だ。



マジックミラーで囲われた「シースルートイレ」の外観

実際に内部に入ると、なんとも気恥ずかしい。

外部からは見えないと分かっていても、目立つ物体だけに好奇の視線を感じ、足せる用も足せないような緊張感を覚える。

会場では鏡張りの外観に興味を覚え、見学する人が相次いでいた。

シースルートイレ

この奇妙な個室トイレが訴えるのは、2017年の現在でも世界の3人に1人が、安全なトイレを使用できないという「グローバルな衛生課題」の存在である。

LIXIL社の資料によると、世界では開発途上国を中心に約23億人が清潔なトイレを利用できず、また約9億人が日常的に屋外で排泄。不衛生なトイレが招く下痢性の疾患により、毎日約800人の乳幼児が命を落とすという。

広報担当者は「多くの人に疑似体験してもらうことで、衛生問題に関心を持ってもらうのが狙いです。今後も機会があれば活用していきたい」と話す。

とにかくフタをさせたい

屋外トイレを減少させようと、同社は独自開発した安価かつ簡単な仕組みの便器の普及を進めている。

排泄物の重さでフタが開き、下に落ちるとおもりで自動的に閉まる仕組み。形状も、できる限りスムーズな水洗ができるよう高価格帯のトイレに劣らない工夫を施す。

これまでに「SATO」(サト、Safety Toilet)ブランドとして、バングラデシュ、ウガンダ、ケニア、インドの計4カ国で販売。小売り価格を抑えるため、日本からの輸出ではなく現地生産にこだわる。

簡易式トイレ「SATO」シリーズ

開発を率いる同社の石山大吾さんは、バングラデシュ訪問時の強烈な体験を反映していると語る。

トイレ用のスペースはひどい悪臭を放ち、排泄物にはハエが群がっていた。現地の人に尋ねると「昔からそういうもんだから仕方がない」と諦めていたという。

排泄物がそのままだと、悪臭だけでなくハエなどの虫が集まり(感染症などの)危険性が高まります。

とにかく、排泄物にフタをしなければと思いました。

開発責任者の石山さん

実際に簡易式トイレを設置すると、臭いの改善にとどまらない効果も生んだ。

子供が1人でトイレに行けるようになった、それまで使えなかったトイレ周辺の敷地を使えようになったなど、思いがけない反応がありました。

1人だけでやめても意味がない

石山さんが安全なトイレを設置する重要性を強調する。

屋外での排泄は衛生面だけでなく、ヘビや動物に襲われたり、女性は暴行されたりするリスクが伴います。

1人だけやめても意味がありません。みんなでやめないと、地域の衛生環境は改善しないのです。

SATOブランドは今後、新たに11カ国で生産・販売を行う体制づくりを図る。掲げる目標は、2020年までに1億人の衛生環境の改善だ。

長く続いた慣習を変えようと、地道な取り組みが続いている。





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